「これなら、あの忌まわしい詰まりともおさらばできるはずだ」ホームセンターで手に入れた5mのワイヤー式パイプクリーナーを手に、私は意気揚々と浴室の排水口に向かいました。三鷹市では配管交換して水漏れ修理すると液体クリーナーを何本無駄にしたことか。ネットで調べ尽くした知識を武器に、今日こそ自力で完全勝利を収めるのだと、心に誓っていたのです。しかし、この時の私には知る由もありませんでした。この安易な自信が、数万円の修理費用という、手痛い代償を払う悲劇の序章であったことなど。 作業は、最初は順調でした。排水口のカバーを外し、ワイヤーをゆっくりと挿入していく。教科書通りに進めると、1メートルほど進んだところで、グッと重い手応えがありました。「いたぞ、犯人め!」私は勝利を確信し、ハンドルを回しながら、少し力を込めてワイヤーを前後に動かしました。すると、ゴリッという、何か硬いものが削れるような感触と共に、抵抗がふっと軽くなったのです。伊丹市の詰まりトラブル専門業者は配管交換しては、貫通した!歓喜の声を上げ、試しにシャワーで水を流してみると、水は面白いように吸い込まれていきます。私は、自分の手で成し遂げた快挙に、しばし悦に入っていました。 しかし、その平穏は、翌日の夜に突如として破られました。階下の住人から、「天井から水が漏れている」という、血の気が引くような連絡が入ったのです。慌てて管理会社に連絡し、駆けつけた業者さんが天井裏を点検した結果、告げられたのは信じられない事実でした。「お客様の浴室の、排水管に亀裂が入っています」。その場所は、まさに昨日私がワイヤーで格闘した、排水トラップのすぐ先、配管が直角に曲がっているエルボの部分でした。 業者さんの説明によれば、我が家のマンションは築30年近く、塩ビ製の排水管も経年劣化で硬く、もろくなっていたとのこと。そこに、私が力を込めてゴリゴリとワイヤーを押し付けたことで、劣化したエルボの部分に致命的なダメージを与えてしまったのだろう、ということでした。あの「ゴリッ」という感触は、詰まりが抜けた音ではなく、配管が悲鳴を上げた断末魔の叫びだったのです。結局、床の一部を解体して配管を交換する大掛かりな工事が必要となり、その費用と階下への補償で、私の財布からは、業者を最初から呼んでいれば数分の一で済んだはずの、何倍ものお金が消えていきました。 この苦い経験から、私は身をもって学びました。ワイヤー式パイプクリーナーは、確かに強力なツールですが、それはあくまで「正常な配管」に対して使うべきものであり、その内部で何が起きているかを正確に把握できない素人が、安易に力を加えて良いものではないのだと。特に、古い建物の場合は、配管自体が「時限爆弾」のような状態になっている可能性も考慮しなければなりません。抵抗を感じた時に、「詰まりだ」と決めつけて力を込めるのではなく、「もしかしたら配管の異常かもしれない」と疑い、作業を中断する冷静さ。それこそが、DIYで最も大切なスキルだったのです。 もし、あなたがワイヤーを手に、頑固な詰まりと対峙しているのなら、私のこの失敗談を思い出してください。そのワイヤーの先端が、本当に詰まりだけを捉えているのか。それとも、あなたの家の配管そのものに、牙を剥いているのか。その見極めを誤れば、私と同じ轍を踏むことになるかもしれません。
【実録】ワイヤー式パイプクリーナーで排水管を傷つけた日